人が陥りがちな4つの感情パターンを教えてくれる本『ユダヤ人大富豪の教え(3)幸せな人間関係を築く8つのレッスン』

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ユダヤ人大富豪の教え ―ふたたびアメリカへ篇

こんにちは、ゾノ( @ozonosho )です。
今日は、僕の人間関係を劇的に変えるきっかけとなった本『ユダヤ人大富豪の教え(3) 幸せな人間関係を築く8つのレッスン』をご紹介します。

この本と出会った当時「ポジティブであることが素晴らしいこと」だと思っていた僕は、この本を読み、「自分がポジティブであることで、いかに人の心に寄り添えていなかったか、いかに人のやる気を削いでしまっていたか」を痛感することになりました。

もちろん、ポジティブ=悪い、ということではありません。
また、同じように、ネガティブ=悪い、ということでもありません。
ただし、ポジティブもネガティブも、その感情が行きすぎてしまった場合、自分や周りを大きく振り回してしまうものになります。

この本では、人が陥りがちな4つの感情パターンの特徴を紹介。
それぞれの感情パターンに当てはまる4人の人物が登場します。そして、その4人を客観的にながめることで、自分の人生が感情によっていかに振り回されているかを知ることができます。

さらに、本の中では、4人の登場人物がそれぞれ自分の感情を「癒す」までのストーリーが描かれています。お互いに会話していくなかで、自分と相手の「行動の裏にある感情」を知り、お互いにたいして愛情が沸いていくドラマは、とても引き込まれます。

登場人物4人がそれぞれ持つ感情は、現実世界でもほとんどの人が持っている感情のため、誰しもがきっと深く共感しながら読める本です。そして、この本を読んだ瞬間からきっと、自分や相手とのあり方を見つめなおすことになるはずです。

尚、このブログは原文の引用が多めです。また、引用している文章量も一般的な本の紹介ブログに比べて多めです。それは、「なるべく主観を入れたくない」という理由があることと、「ドラマをドラマのまま伝えるためには、結論だけでなく、ある程度のストーリーを伝える必要がある」という理由があるためです。

しかしながら、ブログで紹介できるのはもちろん本の一部です。全体にして一割にも満たない内容のため、このブログの内容が気になった方は、ぜひ実際の本『ユダヤ人大富豪の教え(3) 幸せな人間関係を築く8つのレッスン』を読んでいただけると幸いです。

◆目次
  1. ざっくりとしたあらすじ
  2. 登場人物4人の紹介
  3. 人が陥りがちな4つの感情パターン
  4. それぞれの感情が行きすぎてしまった場合
  5. 「ポジティブ自立」と「ネガティブ依存」が癒されるドラマ
  6. 「ネガティブ自立」と「ポジティブ依存」が癒されるドラマ
  7. その他、この本で得られること
  8. 僕の話をすこしだけ
  9. 最後に、この本を読みたい方へ

ざっくりとしたあらすじ

主人公は、ポジティブな実業家「ケン」。
前向きに生きることが正しいことだと信じて突き進み、ビジネスの分野では事業を成功させる。

しかし、最良のパートナーだと思っていた妻の「礼子」がある日、「しばらく実家に帰ります。今後、あなたとの関係をどうしたいのか、考えたいのです。」という置き手紙を残していなくなってしまう。

理由が分からず途方に暮れるケンは、ひょんなことをきっかけに、人間関係のワークショップをおこなう「ハリー」の存在を知る。

「人との関わり方、感じ方が変われば、すべてが変わる。これまでの家族との関係を癒し、世界のとらえ方を変えれば、観念も変わっていく。人間関係を見直すことで、人生は変わる。」

そう語るハリーの話に興味を持ったケンは、「自分の感情から逃げないこと」を約束に、ハリーの主催するワークショップに参加させてもらう。

そして、物語は、このワークショップから始まります。

登場人物4人の紹介

本では、最初のワークショップとして、「感情について話し合うワーク」がおこなわれます。主人公ケンは、このワークをつうじて、同じ参加者である4人の方たちと話し合います。

この4人が主な登場人物となります。
ケンが4人それぞれと話し合うなかで4人の紹介がされているため、下記抜粋の中には、一部、紹介とは関係のない記述も含まれています。

パワフルで前向きな「ジョン」

僕の相手は、ジョンという背の高い四〇歳くらいの男性だった。
スタイリッシュで、見るからにパワフルなリーダータイプだった。感情について話すことがワークだったはずだが、彼は、感情については一言も触れず、いかに自分の人生がうまくいっているかを延々と自慢するのだった。そのあいだに、面白くもない冗談をはさみ込んでは大声で笑う。この部屋では泣きながら話している人もいるというのに、彼だけはまったく違う星から来たようだった。そのハイテンションな振る舞いはグループ全体から浮いていた。

「いやあ、私が経営している会社は、すごくうまくいっていてね、地元では有名なんだよ。お金も使いきれないぐらいいっぱいあって、このあいだは五〇フィートの船を衝動買いしちゃったよ。あとで税理士に怒られたけどね。そこでパーティーをやるって言ったら、ボートに乗りきれないぐらい知り合いが来ちゃってさぁ、結局二回も遊覧ツアーをやることになって、いや大変だったよ。私の妻は昔、美女コンテストで優勝したほどの美人でね。子どもたちもかわいいんだ。私ほど恵まれたやつもいないと思うんだよね。神様ありがとうって思うよ、本当に」

僕は最初、自分と同じ匂いを感じて、ジョンに親しみを感じていた。ふだんの僕ならすぐに意気投合したかもしれない。でも今日は、そんなふうには彼の話を聞けなかった。
この人に比べたら、自分の成功がちっぽけなものに思えてきたのだ。
「大型のボートを買うなんて、まだまだ、僕にはそんな余裕はないよな。少なくとも数千万円はかかるからな。奥さんはすごい美人で、子どもたちも最高なんて、そんな人いるんだ……神様は不公平だな……」そして、彼の話し方は、延々と自慢話をする僕の父親とよく似ていた。

なんとも言えない複雑な感情を抱いたまま、話の最後におざなりの握手をして、僕たちは別れた。

自信なさげにオドオドしている「アンソニー」

こんどのパートナーは、ジョンとはまったく違うタイプの青年だった。
アンソニーというイギリス人で、痩せ型でひょろっとしている。デザイナーをやっているというわりには、ファッションは野や暮ぼったく(まあ、人のことは言えないけど……)、なにか自信なさげな様子。オドオドした感じで、そのうえ訛りのあるイギリス英語で話すので、よく聞き取れない。声も小さいし、「聞いてもらう気あるの?」と突っ込みたくなるような話し方だった。

「感情といえば、えーと、僕はいつも何かに怯おびえている感じがしています。その〜、何か大きな失敗をするんじゃないかと思ってね……。ぼ、僕は、いつもヘマばかりしでかしているんだ。そして、特に自分がミスしたわけではないときでも、気がつくと僕が悪いことになってることも多いんだ……。先日も、上司に話があるって言われたら、それだけで頭が真っ白になっちゃったんだ。もう絶対にクビだって言われるんだと思って……。えーと、でも、よく聞いてみたら、なんでもないことでホッとしたんだけど、逆にそれが僕には悔しくて……。なんでいつもビクビクしてなけりゃならないんだろう?いつになったら普通の人みたいに笑って暮らせるんだろう?ぼ、僕の平和な生活はいつ実現するんだろう?僕は大金持ちになりたいと思ったこともないし、大きな家に住みたいとか、大それた夢もないんだよ。ただ、ビクビクして生活したくない……それだけ……なんだけど。そんな夢って、小さすぎるのかな?」

延々と続く彼の独り言のような話に、なにかイライラさせられた。
途中で、「それってどういうことなの?」と僕が普通に聞いただけなのに、彼はビクッとして黙ってしまう。
彼と話していると、自分の邪悪な部分が引き出されるような感じがした。「めちゃめちゃにしてやりたい!」という意地悪で暴力的な気持ちが煽られるのだ。
彼が話しているのをさえぎって、「ちょっと待ってよ。さっきハリーが、感情についてシェアするように言っただろ?聞いてなかったのか?おまえが言っているのは、単なる文句だよ。まったく」とビシッと言ってやりたかったけど、口には出せなかった。

結局、僕は、「大変だったね」とコメントしただけだった。自分に嘘をつきながら生きている自分のパターンを見た気がした。

目つきが厳しいイライラ「ボブ」

次の相手は、五〇すぎのボブという男性だった。
彼は会計士で、インテリ風の眼鏡をかけて、どこかピリピリしていた。緊張という種類のピリピリではなく、イライラして虫の居所が悪い感じだ。面と向かうと、僕が怒られているような気持ちになってしまう。自分で会計事務所をやっていて、スタッフが数人いるらしいが、みんな無能だそうだ。こんな上司じゃスタッフも大変だろうな。感情のワークのはずなのに、自分のスタッフや奥さんの悪口ばかり言っていた。世界全体が敵であるかのように語り、イライラをぶちまけていた。

「だいたい、どいつもこいつも馬鹿なやつばかりだ。本当に情けないね。うちの女房も『いつも時間に遅れる』は、『お金にはルーズだ』は、たまらないよ。本当にあいつと結婚して失敗したと思っている。ここだけの話だが、子どもが二人いて、二人とも出来が悪くて、そこのところは女房にそっくりなんだ。なにかといえば、『パパ、リラックスしよう』っていうのが口ぐせさ。あいつらみたいにリックスしていたら、人生の落らく伍ご者しゃになってしまう。ルーザー(負け犬)だよ、ルーザー!」

あまりの迫力に相づちを入れるぐらいしかできない。もっとも彼にとって僕がここに存在していようがいまいが、あまり関係なさそうだった。彼のイライラ話はさらに続いた。

「感情について話せと言うが、私は、冷静で知的なやつとだけ話をしたい。馬鹿なやつと語り合っても有益なことは何もないからな。君はそこまで馬鹿じゃなさそうだ。何も考えてないやつがこの世界をダメにしているのさ。日本人は平均的にまだ少しマシなんじゃないか?」

「あなたはなぜ、ここに来たんですか?」と僕が聞くと、彼は冷ややかに答えた。「それは、人生の意味を知りたくて来たに決まっているだろう。それ以外に何があるっていうんだ。でも、ここに来ている連中にはあまり優秀なやつがいなさそうで、もう半分は、来たことを後悔してるよ。でも、ハリーには期待している。彼は、私たちが知らない、なにか深いものをもっている、頭のいい私には、見ただけでよくわかるんだ」

僕は馬鹿に見えないように、一生懸命話を合わせた。とても自分の感情や礼子のことを話せるような雰囲気ではない。「妻が家出したんだ」なんて言えば、「やはりおまえも馬鹿な連中と一緒だな」と軽けい蔑べつされそうだ。つい、「僕も人生の方向性を見たいんだ」という適当な話でごまかしてしまった。

ふいに、子ども時代の卑ひ屈くつだった自分を強烈に思い出した。そういえば、父親が誰かを批判したり、誰かの悪口を言っていたとき、「そんな話は聞きたくない、たくさんだ!」と思っていたのに、一言もそれが言えなかったなぁ。怒りをまったく表面に出せないのは、僕の弱点だった。

ボブの中にある怒りの固まりのような毒にさらされ、それに反抗できない自分の情けなさに打ちのめされた僕は、一段と気分が悪くなった。

人生をただ嘆く、ぼやきの「スーザン」

最後の相手は、スーザンという五〇歳過ぎの主婦だった。
見るからに痩せていて、ガリガリだった。感情について話すのはいいのだけれど、ネガティブな話しかしない人だった。最初の五分ぐらいは、その悲しいストーリーに丁寧に相づちを打っていたが、そのうちに、「そこまでネガティブに考えなくてもいいんじゃないの?」と何度も思った。彼女の話には、いたるところに、ネガティブな表現が出てくる。暗い部屋、いやな環境、ひどい人たち、不景気、理解してくれないパートナー……延々と続く「文句の速射砲」みたいな人だ。彼女が語る内容は、こんな感じだった。

「私は、感情があまりにいっぱいありすぎて、どれから話したらいいのかわからないぐらいなのよー。いつも圧倒されるぐらい、私は深く感じるの。ところが主人は、さっぱり何も感じないんだから。いったい、どうなっているのかしら。彼ももっと感じてくれたらいいのに〜。テレビを見ても、たとえば飢餓のニュースや、世界のどこかで、事故や天災があったなんて聞くと、それだけで涙が出ちゃうわ。そんなのは見なければいいんだけれど、そういうわけにもいかなくて、ついつい見ちゃう。あ〜、私って本当にダメね。でも、そういう自分じゃいけないと思うの。もっと前向きに生きなくちゃと思うし、主人にもいつも、もっと前向きに考えろよと言われているわ。でも私には無理。だって才能もないし…。そりゃ昔は夢もあったけど、この年じゃねぇ。いまさらやる気も出ないのよ〜ホントに……」

彼女の話を聞いていると、ついアドバイスしたくなる。「そこを前向きに考えたらどうですか?」「それは、考え方が極端になっていませんか?」いろいろ僕が言ったのに、彼女はことごとく、「いや、そうは言ってもねぇ」とか、「あなたみたいなタイプにはわからないと思うけどさあ」という一言ではねのける。どんな的確なアドイスも、ネガティブな迎撃ミサイルで撃ち落とす、すごい技をもっているのだ。

スーザンは一見、人への共感能力が高くて、愛の手をさしのべるタイプに見えるけれど、なかなか頑固だなぁ。少しもわかり合えない……。彼女とのやりとりで、僕はへとへとになった。疲弊したといってもいいだろう。でも、この疲れにはおぼえがある。礼子と話をしたときに感じるのと同じだ。悩んでいる様子の彼女を励まそうと、僕がポジティブにいろいろ説明してみても、彼女がどんどん落ち込むパターンを何度も繰り返してきた。ああ、もういい加減にしてくれ……。

補足:感情によって人はまったく別人になる

「さあ、ワークをやってみて、どうだったかな?きっと相手の状態によって、出てくる感情はまったく違っただろう。じつは、さっきのワークは、自分の感情について話してもらうものだったが、それと同時に、相手の話し方、あり方によって、どう自分が感情的に振りまわされるかを知るワークでもあったんだよ」

なるほど、本当にその通りだ。
ポジティブなジョンとは、共通点があるような気がしたけど、後半はまったく心が離れてしまった。アンソニーには、ただイライラさせられただけだし、ボブと一緒にいるときは、彼に対して腫はれものにさわるようになっていた。僕のほうがオドオドして、小さい頃、お酒を飲みはじめる父さんをなだめたときのようなモードになってしまった。スーザンとは、一緒にいるだけで疲れてしまった。

向き合う相手によって、自分がこんなにも感情的に影響されるなんてびっくりだ。僕は、どんなときも明るく、冷静で落ち着いた判断ができるとまわりに見られていたし、自分でもそう思っていただけにショックだった。

ハリーは感情から自由になるための方法について、次のように語った。

「人の感情は移ろいやすい。そして、目の前の人の感情に左右されるんだよ。そのことを覚えもらいたい。もし、君たちが感情の揺れから自由になりたいのなら、ふだん、自分がどれだけ感情的に揺れているのかを観察することからスタートしてみてほしい。
相手が何を感じているのか理解できなければ、お互いが理解し合うなんて夢のまた夢だ。
たぶん、ほとんどの人は、自分の内側から出てくる感情に振りまわされないようにするのが精一杯で、相手が何を感じているかまで行き着くどころではなかったんじゃないかね?」

「感情は、目の前にいる人や、ちょっとした事件によってあぶり出される。自分が大切に扱われていないというスイッチが入ったら、それだけで激昂する人は多い。銀行の窓口で怒り狂う人は、自分が感情に突き動かされていることを意識していないだろう。また、日常の些細なことに一喜一憂し、怒ったり落ち込んだりしているのが我々だ。
その感情に突き動かされて、パートナーシップ、ビジネス、子育てなどで、お互い傷つけ合っているというのが実情だろうか。もしも感情の大嵐から自由になり、その膨大なエネルギーを上手に使いこなせるようになったとしたら、どれだけすごいことが可能になるだろう?」

「感情に関して深く見ていくときに、なぜ、我々がそう簡単に反応してしまうのか、そのメカニズムを知っておく必要がある。そして、感情を探ることによって、人は初めて自分が誰なのか、自分の中に何があるのかわかるようになる。君たちの中には愛、情熱、人への思いやりもあれば、貧困意識、憎しみ、意地悪さも眠っているんだよ」

人が陥りがちな4つの感情パターン

4人と話し合うワークが終わったあと、ハリーは「なぜ感情が動いたのか」について、下記のように説明していきます。

人間関係のチャート(マトリックス)

ハリーは、木製のホワイトボードに、大きな十字を描いた。
そして、その左上に「+(プラス)」、左下に「-(マイナス)」を書き、上の欄の左には「自立」、そして、右には「依存」という文字を書き込んだ。


※本書『ユダヤ人大富豪の教え(3) 幸せな人間関係を築く8つのレッスン』より引用

「さあ、これだけではまだ何のことかさっぱりわからないだろう。
ここに出てくる「自立」「依存」「ポジティブ」「ネガティブ」は、世間一般で使われているのとは少し違う意味で使われている。それは追々説明するとしよう。
人間関係は複雑なようで、じつは、一対一で構成されている。相手と自分。相手が明るい人なら、自分も一瞬明るくなれる。相手が暗い人なら、自分もそれに引きずられて暗くなる。相手の感情の状態に一時的に影響される。

しかし、人間関係の面白いところは、この影響が長くは続かないということだ。人間関係は、いま描いた十字の中心点を境にして、左上と右下の関係、左下と右上の関係の、二種類に集約される。すなわち、左上の[ポジティブ自立]と右下の[ネガティブ依存]の関係、左下の[ネガティブ自立]と右上[ボジティブ依存]の関係だ。まずは人間のタイプに、四種類があるということを説明していこう。

[ボジティブ自立]
[ネガティブ依存]
[ボジティブ自立]
[ネガティブ依存]

この四種類は、性格の説明のようだが、そうではない。どんな人の中にも、すべてのタイプがある。そして、相手のあり方によって、自分の、どの部分が引き出されるかが変わってくると思ってもらいたい」

ポジティブ自立の説明

※本書ではジョンが当てはまる

[ポジティブ自立]は、左上のコーナーだ。
この人たちは前向きで明るくて、エネルギッシュに生きている。明るいリーダータイプの人は、ここだ。彼らは、自ら進んで問題解決に当たり、弱音をはかない。そして目標を設定すると、すぐに行動していく。まわりを励ましたり、ヴィジョンを掲げたり、人を巻き込んでいく力が強い。
しかし、暑苦しくなったり、人の心にそえない側面ももっている。いつもニコニコしているのが特徴。

ネガティブ依存の説明

※本書ではスーザンが当てはまる

[ボジティブ自立]と一対になるのが、右下の[ネガティブ依存]の人たちだ。
彼らは後ろ向きで、暗い感じのタイプ。ものごとのネガティブな側面を見がちだ。[ポジティブ自立]とは対極にある。問題を次々と見つけ、感情的になりがちだ。昔のことで、くよくよ悩んだり、文句を言いつづける傾向がある。不思議なことに[ボジティブ自立]のタイプとパートナーになることが多い。
このタイプは感受性が鋭く、カウンセラーの素質があり、人に深く共感できる。

ネガティブ自立の説明

※本書ではボブが当てはまる

[ネガティブ自立]の人たちは完璧主義で、ものごとを確実に進めようとする。そのために、やや冷たい印象をもたれることがある。目標志向で、やると決めたら着実に結果を出すことができる。
しかし、そのためには、まわりに威圧的に接したり、コントロールすることもいとわない。自分は有能だと思っているので、相手が無能に見えてしまう。
いじめっ子の性質をもっていて、内なる暴力を抱えている。いつもイライラしているのが特徴だ

ポジティブ依存の説明

※本書ではアンソニーが当てはまる

この[ポジティブ依存]の人たちは、穏やかで癒し系の人が多く、まわりをリラックスさせる才能がある。
そして、[ネガティブ自立]の人との組み合わせになると、ふだんは有能な人でも、ミスをしがちで、段取りが悪い人間になってしまう。気がついたら[ネガティブ自立]の人に怒られてばかりということになってしまうんだ。さらに、それが行きすぎると、いじめられっ子になる。
何かあると頭が真っ白になって思考停止してしまうことも多い。
いつもオドオドしているのが、このタイプの特徴だ

補足①:どのポジションが「良い」「悪い」ということではない

「このマトリックスのどこにいるのが、いちばんい理想的なんですか?なんか、僕のいるところ、つまりは、[ポジティブ自立]にいるのがよさそうな気がするんですけど……」

「もちろん、どこがいいということはない。それぞれ一長一短があるからね。そして、必ず相手との関係によって、君のいる位置が決まってくる。
このチャートが示しているのは、人間が感情的にいきがちな四つの場所だ。それぞれにいいところと悪いところがある。
それをわかっていなければ、自分は正しい、相手はかわいそうだ、生き方を変えるべきだなどの馬鹿ばかしいゲームをやりつづけることになる。
このマトリックスは、すべての人間関係が、中心点をはさんで対極線上に分かれてしまいがちだということを示しているにすぎない。

「やはり中心にいるのがいいということでしょうか?」

「このマトリックスでは、中心点に近いほど、たしかに穏やかで心が平安だ。中心点から離れれば離れるほど、人間的なバランスを欠き、破壊的になっていく」

補足②:人類のほとんどがこのマトリックスから出られない

「やたらと明るい夫と、心配性で暗い妻。ピリピリしている妻と、オドオドしてあとからついていく夫。こんな組み合わせで『夫婦関係』というのはできている。
上司と部下、お客さんと店員などの関係も、この力学で説明できる。やたらと高圧的な上司やお客が目の前に来ると、からだから力が抜けて、ふだんよりも萎縮してしまうことはないかな。あるいは、ハイテンションの人と一緒にいると、こちらの気分がふさいでくる。落ち込んでいたり、ネガティブな人を前にすると、アドバイスしたり、励ましたりしたくなる。オドオドしている人を前にすると、ちょっと意地悪な気持ちになる。」

「人は、誰かと人間関係をもつと、自然とどこかのポジションにいくことになる。初対面でも、会って五分もすると、それぞれが気持ちのいいポジションを選んで、人間関係築くようになる。
そして、いったんそれが固定化してしまうと、その人間関係では、それ以上の成長が止まってしまう。場合によっては、何十年もそのままの力学が固定されていくことになる。あるいは、その日の気分で、一人がポジティブになると、相手は、自然にネガティブになる。」

「人類の感情は、まるで、このチャートがそのままプリインストールされているように動く。世界のあらゆる文化の人が、こと感情に関しては、同じように反応するからね。このマトリックスから自由になっている人は、ほとんどいない。」

「人間は、このマトリックスの中をダンスするようにできている。相手がもともとどこにいたとしても、自分と対極線上の場所に自動的にいってしまうのだ。逆に言うと、自分がどこにいても相手に影響されて、自分は相手の反対側に飛ばされる。ダンスをやめるには、相手とのあいだに、中心を見つけることができるかどうか、感じられるかどうかだね」

それぞれの感情が行きすぎてしまった場合

本書では、4つの感情パターンそれぞれが行きすぎるとどうなるか、についても触れています。

ポジティブ自立が行きすぎた場合

たとえば、[ポジティブ自立]の人が極端になると、超ポジティブになっていく。
すると、すべてのことが可能に思え、自分を神のごとく感じるようになる。オーナー企業の経営者、新興宗教の教祖、国の独裁者たちは、この[ポジティブ自立]の成れの果てといえる。

そこまで大げさでなくても、[ポジティブ自立]度が進むと、どんどんリアリティーとかけ離れて現実感がなくなってしまう。周囲が難しい、無理だと言えば言うほど、燃え上がって、挑戦することにエクスタシーを感じてしまう。すると、まわりは当然ながら大迷惑することになる。

彼らは非常に有能で、カリスマ的なことが多い。なので、同じ組織の人間は誰も、彼や彼女にもの申すことができなくなる。
トップがこの[ポジティブ自立]にはまると、残念ながら、その関係は組織が綻たんするまで続く。独裁者ならクーデター、会社のオーナーなら倒産、家庭なら離婚などといったことに陥らないと目が覚めない。

自分が絶対の自信をもって築いていたものが破綻することで、初めて自分は裸の王様であったことに気がつく。クーデターなら、すべての国民が自分を愛しているわけではないこと、企業のトップなら、自分の経営方針が間違っていたこと、家庭なら、夫婦関係がうまくいっていなかったことに、初めて気がつく。

ポジティブ思考が強すぎて、現実を直視する能力が失われてしまうためにそうなってしまうわけだが、いったんこの人たちが[ポジティブ自立]から落ちると、彼らの末路は哀れだ。誰にも相手にされなくなり、感情的には、自分の対極にある[ネガティブ依存]に落ちる。

ネガティブ依存が行きすぎた場合

[ネガティブ依存]も右下に落ちていけばいくほど、人生はどんどん悪くなる。
病気がちになり、すべてのものごとの暗い面ばかりが強調される。世界にも未来にも、そして自分にも、絶望しがちだ。自分が属する世界のすべてを後ろ向きにとらえるようになってしまう。自分のパートナー、家族、子ども、会社、地域、国、ひいては地球の未来が、暗いものになると思えてくる。そして、それを嘆かずにはいられない。

一時的にネガティブになるのは、ごく普通なことだが、恒常的にここにはまると大変だ。右下に落ちていくと、幸せ感とはほど遠い、暗い世界に閉じこもることになる。ひきこもる人たちは、マトリックスではここにはまっているといえるだろう。
社会とミスマッチするために、昼と夜が逆転する生活を送ることが多い。不眠になったり、病気がちになることで、仕事や社会的な生活に支障を来きたすようになる。

右下にいけばいくほど、誰も助けられない。時折、勘違いした[ポジティブ自立]の人が助けようと上から縄なわ梯はし子ごを下ろしてくれるが、『手が滑る』『握力がない』などを理由に、『やっぱりここから出られない……』というのが落ちだ。

本人が『ここから出よう!』と決めなければ出られないが、多くの人が、ここから出るときに、振り切れて[ポジティブ自立]にいきがちだ。感情を無視して、突っ走ることになる。うつだった人が急にフリップして実業家になることがあるのは、このためだよ。
彼らは内面にまったく同じものをもっている。だから、中心点を境にして、彼らは引き合うのだ。

ネガティブ自立が行きすぎた場合

[ボジティブ自立]と[ネガティブ依存]の分極化もきついが、[ネガティブ自立]と[ボジティブ依存]の分極化も同じように苦しい。

たとえば、[ネガティブ自立]の人間が、その度合いが進んでもっと左下に落ち込んでいくとどうなるかを見てみよう。二四時間頑張っている自分に比べて、世の中全部が馬鹿で無能な人間の集まりに見えてくる。そして、自分が頑張らなければ何もうまくいかない、大げさに言うと、世界は崩壊するぐらいに感じている。まわりのみんなが無責任に感じる分だけ、自分の肩に責任が重くのしかかる。

組織のトップがこのタイプだと恐怖政治型になる。会社だとワンマン経営、国だと独裁者はこのタイプだ。彼らは間違いを認めないし、自分は絶対的に正しいと確信している。そうした感覚は、その人のやる気を起こさせ、自身の存在価値を強烈に感じさせる。

しかし、それが極端になると、心の平安がまったくなくなってしまう。そして、まわりとの心のつながりも切れてしまうような場所だ。孤独な鬼おに軍ぐん曹そうタイプの人たちもここに属する。

こういう人が企業の中間管理職になったら、悲劇だ。なぜなら、自分の部下が能なしにしか思えない。そして、上司はわからず屋ばかり、家族も馬鹿で無駄な生き方をしていると感じるだろう。そうなったら孤立無援、補給もない戦いを永遠に強しいられている感覚のまま走りつづけなくてはならない。一言でいえば、『責任地獄』にはまってしまうというわけだ。

ポジティブ依存が行きすぎた場合

[ポジティブ依存]も、中心からはずれて、どんどん右上にいくと大変だ。
何をやってもヘマばかりしてしまううちに、まるで地雷原の中を歩いているような感じがするだろう。仕事をしていても、家事をしていても、勉強をしていても、どうせダメなんだと感じながら生きることになる。無力感の霧の中で、自分はみんなの迷惑なんだとしか感じられないのがこの場所だ。

実際に能力がある人でも、この力学にはまると、いいところが出ないまま、手も足も出ないような感じになってしまう。こんな状態が続くと、いつも誰かに責められるんじゃないか、とんでもない失敗をしでかすんじゃないかという怖れの中で生きることになる。何があっても、『ごめんなさい』『すみません』といって暮らすのは、大変だね。

対極の[ネガティブ自立]との組み合わせでいうと、いつも怒られて、責められて、こづきまわされて生きることになる。こういうタイプが組織にいると、いじめを受けたり、スケープゴートになる場合が多い。

本当は悪くないのに、悪者になってしまうケースも多いはずだ。学校でいじめを受けたり、会社でリストラにあったり、えん罪被害の犠牲者は、このタイプだ。

補足:どのタイプの人間も、自分が正しいと信じている

「このマトリックスの問題は、すべての立場の人が、自分の生き方が正しいと心の奥で思っていることだ。

[ポジティブ自立]の人は、前向きに生きるのが人生だと確信している。だから、みんなをリードしていく自分は偉いと信じている。

[ネガティブ依存]の人は、感情的に深く感じるのがすばらしい人生で、他の生き方は薄っぺらいと思っている。モラル的に優位に立っているわけだ。

[ネガティブ自立]の人は、世界を支えているのは自分だと信じているので、自分がいちばん貢献していることを疑わない。

[ポジティブ依存]の人は、『ごめんなさい』と言いながら、どうしてみんながお互いにやさしく生きられないんだと憤っている。ということは、つまり、『自分のようにやさしくなったら、世界はよくなる』と深いところで信じているのだ。

つまりは、どのタイプの人間も、自分が正しいと信じている。そして、誰もがみんな、自分は正しいと信じていたら、お互いにわかり合えるはずがないのだよ。

「そこから抜け出す方法はないんですか?」

「それは、相手に対して思いやりをもつか、自分の痛みに直面するかの二つしかない。
[ポジティブ][ネガティブ][自立][依存]になったのは、人が痛みに耐えきれなくなったからだよ。マトリックスの対極にいくのは、その二人がそれぞれ同じ痛みを抱えているからなんだ。

相手がどんな痛みをもっているのかを想像し、同時に自分の痛みを見ることができれば、一瞬にして力学は変わる。

「ポジティブ自立」と「ネガティブ依存」が癒されるドラマ

では、実際に、どのように歩み寄ることができるのか。
本書ではもちろんその内容についても触れています。ここではその一部をお伝えします。

ここでの登場人物は、ポジティブ自立の「ジョン」と、ネガティブ依存の「スーザン」。ストーリーは、スーザンのシェアからはじまります。

ネガティブ依存「スーザン」のシェア

「私の立ち位置について教えてほしいの、ハリー。『おまえはなんでもかんでもネガティブに取りすぎだ』って主人が言うんだけど、私だって精一杯努力してるし、言われるたびにつらくて……」

ハリーが彼女に質問した。
「なるほど。すると、旦那さんは、このチャートでいくと、どこにいるのかな?」

「そうね、主人はもちろん[ポジティブ自立]にいます。彼の言い方には悲しくなることもあるけれど、いつも前向きなリーダーで、結構、素敵な人なの。私にはもったいないくらい」

「でも、ときどき彼は、ネガティブな側面も見せないかね?特に数カ月に一度、ど~んと落ち込んだりするのはなぜだろう?」

「ええ、なんでわかるの?主人は、ふだんはすごくポジティブなのに、たしかに定期的に体調を崩したり、落ち込んだりして、すごく私を不安にさせる。歳のせいかなと思っていたけど、考えてみれば、昔からずっとそうだったわ。いったい、なぜなんでしょう?」

「君には信じられないかもしれないが、彼は、もともと[ネガティブ依存]出身なんだよ。たぶん小さい頃から心配性で、それではダメだと努力して[ポジティブ]になったタイプではないかな?」

「ええ!?そんなはずはないと思うけど……ああ、でも思い当たる節があるわ。たしかに彼はたまに、とても悲しそうな顔をして私を驚かせることがある。そういえば小さい頃の彼は繊細で、いつもメソメソしていたんで、『泣き虫君』て呼ばれていたって義母が言っていたわ。ハリー、あなた、なぜそんなことまでわかったの?」

「それはね、すべての[ポジティブ自立]の人は、[ネガティブ依存]から振りきれて、[ポジティブ自立]になるからだよ。私もその一人だからよくわかる。
同じように、すべての[ネガティブ自立]の人たちは、昔、[ポジティブ依存]だったのだ。その苦しさを二度と味わいたくないと、彼らは、マトリックスの反対側を選んだ。
だから、[自立]の連中は、調子のいいときはいいんだが、本当は打たれ弱いんだ。そう思わないかい?」

「その通りだわ。主人たら、自分では調子いいことを言うくせに、私が彼にちょっとでもネガティブなことを言うと相当反応しますからね!」

だんだんスーザンが強くなってきた。ハリーのやりとりは、とても面白い。物理的には、ただ単に言葉が交わされているだけなのに、当事者はみるみるうちに変わっていく。興味深いのは、本人がそれにまったく気づかないことだ。

「さてと、それがわかったうえで、なぜ君がずっと[ネガティブ依存]の沼にいるのか、もう1つの理由を教えてあげよう。

「それは君の旦那さんを守るためだ。君が[ネガティブ依存]にいるかぎり、彼を[ポジティブ]にしてあげられるからね。
君にとって、何よりも見たくないのは、彼が落ち込んでいる姿のはずだ。君のお父さんのようにね」

「ええ?すると、私は主人を守るために、[依存]にいたということですか?そして、それは、元をたどれば父との関係で私がしていたことだと言うの、ハリー?」

「その通り。もちろん、それだけではないよ。彼が自信をなくしそうなときには、支えてあげることで、彼が落ち込まないようにしてあげていたんだ。支え方が、上からではなく、下からだったけどね。」

「そんなこと考えてみたこともなかったわ。でも、ひょっとしたら、そうかもしれない……。父も、ずっと落ち込んでいた……。やたらハイテンションな母が、いつも落ち込む父を励まそうとしていた……。でも私は、そのやり方が父を余計にダメにしているんじゃないかって、小さい頃に感じていたのを思い出したわ。なんてことなの……」

ポジティブ自立「ジョン」のシェア

「ハリー、あなたの言う通りだよ!」
急にいままで黙り込んでいたジョンが、横入りして話しはじめた。ちょっと苦しそうな様子だった。

「スーザン、みんな、ちょっと聞いてくれない?横入りして申し訳ないけど、どうしても聞いてもらいたいことがあるんだ。
じつは僕は、人生すべてうまくいっているような顔をしていたけど、全然うまくいってないんだ。たしかにビジネスは絶好調だ。でも、妻は僕に愛想を尽かして、先週、子どもと一緒に実家に帰ってしまった。しばらくバケーションのつもりで行ったのかぐらいに思っていたんだけど、ちょうどここに来る数日前に電話があって、『あなたとはやっていけない』と言われたところさ。
スーザン。君の話し方、話す内容、すべてうちの奥さんとそっくりだよ。双子の姉妹といってもいいぐらいだ。僕がずっと、君のことを他人に思えないと言っていた理由がわかっただろう?あまりの偶然に、僕も信じられない思いだよ。」

「ええっ!あの、いまだから言うけど、じつは、私もあなたのことを他人とは思えなかったの。あなたも、私の夫とまったく同じような話し方をするから、ずっと気になっていたの。」

こんな偶然があるのだろうか!?

「人生にいっさい偶然はない。まず、ジョン。君は奥さんに本当は何と言いたいのかね?」

「……僕は、まず彼女に会って、心から謝りたい。これまで傷つけてきてごめんって。いっそ、いますぐにでも彼女のところに飛んでいきたいぐらいです。
僕は、なんて大馬鹿者だったんだろう……。彼女がそんなふうに苦しんでいたなんて、そして、僕をそんなかたちでサポートしてくれていたなんて、いまハリーに言われるまで考えもしなかった。それなのに僕は、彼女を上から見下すことしかしていなかったんだ……」

自分に言い聞かせるように言葉をしぼり出す彼は、いつもの陽気で傲慢なジョンではなかった。真摯な態度で、心からの言葉を発していた。

「そしてスーザン、君はどうしたいのかね?」

「私は、主人がずっと私を見守ってくれていたことに心から感謝したい。そして、彼が落ち込んだ時こそ、やさしく包んであげたいわ」

そう語るスーザンも毅然として、いつもの彼女からは想像もできないくらいパワフルで、輝いて見えた。
傍らでジョンが静かに泣いていた。

「ネガティブ自立」と「ポジティブ依存」が癒されるドラマ

ここでの登場人物は、ネガティブ自立の「ボブ」と、ポジティブ依存の「アンソニー」。ストーリーは、アンソニーのシェアからはじまります。

ポジティブ依存「アンソニー」のシェア

「ハリー、いいですか?
僕は、小さい頃からずっとおびえて暮らしてきました。でも、もう、そんな生き方はたくさんだと思っています。新しい生き方を選択したい。ど、どうしたらいいんでしょうか?」

「君は、何を恐れているのかね?この世界は、自分が選択したように見えるものだ。ある人にとっては、この世界はチャンスがいっぱいで、楽しくてワクワクする場所に見えている。また、別の人にとっては、恐ろしい場所に感じられているはずだ。」

「僕は、怖いと感じているほうです。なんというか、大げさに言うと、世界全体が怖いんです。仕事をするときも、おっかなびっくりしている自分がいます。それがなぜだかわからないんです。この数日間考えていたんですが、ごく小さい頃からそうだったような感じがします。学校が怖くて休んだことも何度もありましたから……。」

「どうやら、その根源は両親との関係にありそうだね。
両親とうまくいっていない人は、人生でいろんな問題を経験することになる。両親が、君に安心感を与えてくれなかった可能性がある。
君のお父さんは、どんな人だったのかね?」

アンソニーは自分の父親について話しはじめた。

「僕の父は学校の教師で、とても厳しい人でした。その~、生徒にも、自分にも、家族にも、いつも何かにイライラしていたように思えます。
父が心から笑ったのを見た記憶がありません。うちの家には、それこそ学校の教室みたいに、いつもピリピリした空気が漂っていました。ぼ、僕は、その緊張感の中で、いつもヘマばっかりやって、父親に怒られていました」

「すると、お父さんは、君のあり方にイライラしていたことになるね。ずっと[ネガティブ自立]で生きていたとすれば、まわりがいい加減で、無責任で何も考えていない人間ばかりに見えてしまうはずだ。お父さんは、そんなことを言っていなかったかい?」

「そうです。父の口ぐせは、『みんな無責任な連中ばかりだ』『誰も真剣に考えていない!』というものだったと思います。家の中には、いつもピーンとした張りつめたような緊張感があって、父の機嫌によって、その日の家の雰囲気が決まっていた感じがします……」

「君は、お父さんの元を離れてからも、ずっと父親がつくり出した緊張の中に生きていることを知っているかね?」

「それだけ幼少期の体験というのは、その人の生き方を左右するものなのだよ。君がいまでも恐れの中に生きていることが、まだ彼の影響下にいるという証拠だよ。」

「さあ、そのことがわかったら、それに対してどうするかだ。
君はいままでのように、ずっとその環境で怯えながら過ごすこともできる。あるいは、これまでの過去に決別して、まったく違った生き方を選択することもできる。アンソニー、君はどうしたいんだね?」

「もちろん、父親と決別することを選びますよ。どうすればいいんですか?僕はここで変わらなきゃダメになってしまう!」

「よし、気合い十分だね。では、この部屋にいる中で、君のお父さんに似ている人を探してほしい。顔つきとかでもいいし、雰囲気でもいいだろう。年齢のことは考えなくていいから」

僕は、密かに、ボブしかいないと思っていた。なぜなら、ボブはいつもピリピリしていて、まわりに毒をまき散らしていたからだ。だが、正直、彼と向き合うのは、僕でさえもちょっと怖かった。なぜなら、彼のまずいところを指摘しようものなら、その何倍も責めや批判の言葉が返ってくるからだ。

アンソニーは、意を決したように立ち上がり、会場を見渡した。そして、ビクッとした表情を一瞬見せたが、毅然とした態度でボブを指さした。

僕は、正直怖くなった。彼が指そうとした瞬間、僕もビクッとして、目を閉じてしまった。
これから、何が始まるのか……大丈夫か、アンソニー!

ボブは、真っ赤な顔をして前に出てきた。もうすでに怒りが充満しているといった感じだった。そして、アンソニーはといえば、その正反対で、真っ青な顔をして震えていた。

「さあ、アンソニー、なぜボブを選んだのかな?」

「そ、それは、彼の雰囲気、話し方、すべてが、父とそっくりだからです。目を合わせるのも怖くって……。でも、今回、なんとかこれを抜けたいんです。」

「アンソニー、君は今日、父親に預けてしまっている力を取り戻すのだ。
そして、それは父親を『コントロール地獄』から助けてあげることにも通じるのだよ。
さあ、ではアンソニー、お父さんに自分のいまの状況を説明してほしい。君はいま、どういう人生を送っているのかね」

しばらく黙ったまま、じっとボブの顔を見ていたアンソニーは、ゆっくりと話しだした。

「お父さん、僕はね、いつも怯えているんだ。いつもなにか怖いものに追いかけられているような感じがしている。仕事のときも、プライベートのときも。
お父さんがいまでも怖いんだ。何をしても批判されそうで……『おまえは何をやっているんだ。もうすぐ30になるんだろう?』ってね。
父さん、僕はね、いま、人生の方向性がよくわからないんだ。
何をやればいいのか、誰とつき合えばいいのか。
僕がわかっているのは、自分が迷子になってるっていうことぐらい。そして、いまの人生がダメなこと、それぐらいだよ」

そう言うとアンソニーは、泣くような、笑うような表情になった。
すると不思議なことに、それを見ていたボブの目から、一筋の涙がツーッとこぼれ落ちた。

ボブの涙にアンソニーはハッとしながらも話をつづけた。

「僕は、恥ずかしいけどね、この歳になっても、お父さん、あなたの承認が必要なんだ。こんなにダメな僕でも、愛しているって言ってほしいんだ。『おまえはいい息子だ』って。『きっと、うまくいく』って……」

ボブは、それを聞くと急に泣きだした。こらえきれない様子だった。
僕は混乱した。なんで、ここでボブが泣くわけ!?

ハリーがすかさず入ってきた。
「アンソニー、いまの君には信じられないかもしれないが、愛を求めているのは、君より、君のお父さんなのがわかるかな?見てごらん、彼がどれほど傷ついて、苦しんでいるかを」

アンソニーは息をのむような表情でボブを見た。

「アンソニー、君のお父さんが、どういう幼少時代を送ったか知っているかね?」

「父さんは、何をやってもダメな父親に翻弄されたようです。定職に就かず、お酒を飲んでは暴れていた父親は、仕事を見つけてもヘマばかりして、すぐに辞めさせられて、家族はお金に困ったと聞いています。それで、父さんが頑張るしかなくて、ごく若い頃からアルバイトで一家の家計を支えていたようです。彼なりに、本当に大変だったんでしょうね。」

その話に呼応するように、ボブは声を上げて泣いた。
ハリーはボブの方にやさしく手を置いて、彼に語りかけた。

「それは、君のストーリーそのものだね。
だから、すべてをコントロールする人生になったわけだ。
頑張って、すべてに漏れがないように。そうしなければ、ダムが決壊するように、すべてがダメになってしまう……。でも、そんな生き方には、心の平安はないね?」

ボブは、その場に泣き崩れた。

「みんなわかったかな?ボブは、アンソニーの父親によく似ていることは知っていたね?そして、興味深いことに、じつは、アンソニーはボブの父親でもある。
ボブは、アンソニーのように、世界を恐れて生きる父親をもったから、そのせいで、ごく小さい頃から頑張らなければならなくなった。
さあ、ボブ。目を開けて、目の前の男性を見てごらん。
君のお父さんは、君そっくりの、厳しい君の祖父に自尊心をズタズタにされたので、ああなってしまったんだ。わかるよね?」

「ああ、よくわかるよ……」とボブが言った。
「父がなぜ、あんなに世界を恐れていたのか……。アンソニーの目を見て、いますべてが理解できたよ。なぜ、息子の私までも恐れるようになったのか……。父は、きっと、祖父に痛めつけられて育ったんだ。それで、世界が怖くなったに違いない。
父は、ただ怖かっただけなんだと……。そうとは知らずに私は、父さんがダメでいい加減な人間だと軽蔑したんだ。父さんが死んでも葬式にもいかなかった。父さんの気持ちをわかってやるどころか、ただ馬鹿にしていた……。父さん、ごめん、ああぁ」

「アンソニー、君のお父さんはいい加減な父親に育てられ、それを反面教師として、頑張って生きてきたんだ。君のようなあり方は、彼自身のダメなお父さんを思い出させるのだよ。それは悪夢だった。許せなかった。だから、君に厳しく当たったんだと思う。わかるよね?」

「はい、父親がどういう気持ちで生きてきたのかがよくわかりました……」

「アンソニー、君は、君のお父さんを癒すために、いまのあり方を選んだ。
もう一つ思い出してもらいたいことがある。それは[ポジティブ依存]の人の才能だ。君は、無能だからヘマばかりをしていたのではない。
お父さんの暴力的なエネルギーを外に引き出してあげるために、君は、失敗ばかりしたんだよ。
お父さんが、内面に怒りのエネルギーをかかえて苦しんでいたのを知っていたんだね。だから、それを外に吐き出させてあげようとしたんだ。
すべての子どもは、自分の身を挺(てい)してでも、両親を助けようとする。君も、自分の身に父親の暴力を引き受けてあげたんだよ」

その他、この本で学べること

4つの感情パターンや2つのドラマを読み、自分や周りの状況と重なる部分があった方もいると思います。
ちなみに僕は、最初のジョン役がまさに当時の自分でした。

最初にお伝えしたとおり、このブログで紹介しているのはほんの一部です。本は8章で構成されており、ブログでは2~4章の一部分のみを紹介。全体にして一割にも満たない内容のため、今回紹介したこと以外でこの本から学べることをざっと書き出してみます!

その他、この本で学べること

  • なぜ、自分がいまの感情パターンを選んでいるのか
  • 4つの感情パターンそれぞれの才能
  • 4つの感情パターンそれぞれの弱点
  • 自立とパートナーシップの関係性
  • 遠慮してしまう人生からの決別方法
  • 問題を引き起こしてしまう人の思考
  • 4つの感情パターンそれぞれのライフワーク
  • 4つの感情パターンそれぞれの仕事との関わり方
  • 4つの感情パターンそれぞれのお金との関わり方
  • 今回紹介したチャート(マトリックス)を使う、たった一つの目的

こんな感じ!
ボリューム満点!

この本は登場人物たちの会話が中心となります。登場人物それぞれの立場にたって物事を考えられる「立体話法」という手法が取り入れられているため、自分に適した立場から読めて心に入りやすいです。

気になる方は、ぜひ実際の本『ユダヤ人大富豪の教え(3) 幸せな人間関係を築く8つのレッスン』を読んでいただけると幸いです。

僕の話をすこしだけ

僕がこの本と出会ったのは約5年前。
当時は、飲食店を経営していました。

当時の僕は、この本でいうところの[ポジティブ自立]であり、常に前向きな発言をしていました。また、時に、自信のないスタッフにたいして[ネガティブ自立]の面が出てきて、言葉にはせずとも責める気持ちを発していたこともありました。

そんな僕のもとに集まるスタッフのほとんどは、「変わりたい」という思いをもつ[ネガティブ依存][ポジティブ依存]の人たちでした。そして、僕が[ポジティブ自立][ネガティブ自立]であればあるほど、スタッフたちの自信は削がれていきました。まさに本のとおりですw

きっと、そのまま進んでいたらチームは崩壊していたと思います。
唯一の救いといえば、完全にチームが崩壊する前にこの本に出会えたことぐらいかも…。

この本と出会い、それまで”自分は正しい”と信じて疑わなかった僕は、なんとも言えない気持になりました。今までのすべての「自分の行動」「スタッフたちの反応」が思い出されて、どうしようもないぐらいに後悔しました。

特に、一番近くでずっと支えてくれていた店長にたいして、僕のあり方が原因でとてもツライ思いをさせてしまったことに気付いたとき、今まで相手を傷つけてしまった分の痛みすべてが自分の痛みになって返ってきました。

そして、スタッフ1人1人に手紙を書きました。
自分がいかに相手の心を感じ取れずに迷惑をかけていたか、謝りました。

その後、僕は色々あってうつ病になります。
そのときに、[ネガティブ依存]になった僕を支えてくれたのは、人と人としての関係を築けるようになったスタッフたちでした。彼らが、落ち込む僕の姿を見て、[ポジティブ自立]になり、お店を支えてくれました。

そして、そのときの店長は、お店を終えてからも、うつ病の僕をずっと支えてくれました。今では、人生で一番の親友であり家族のような存在です。

※僕のストーリーは→こちらを参照

人間関係はもろく壊れやすいです。すべての人に100%の心を割けるわけではないけれど、せめて大切な人たちの心にはしっかりと耳を傾けて、歩み寄っていきたい。この本を読み、僕はそう感じました。

最後に、この本を読みたい方へ

ここまでお読みいただきありがとうございました。
僕自身、この本『ユダヤ人大富豪の教え(3) 幸せな人間関係を築く8つのレッスン』を読んだことをきっかけにして人間関係が大きく変わった一人です。心からおすすめしたいと思う本なので、今回紹介させていただきました。

最後になりますが、この本を読みたい方のために、↓にリンクを貼っておきます。また、「この本をたくさんの方に読んでもらいたい!」という気持ちから何冊も持っているので、もし欲しい方がいたら声をかけてください。僕がほぼ毎日いる東京・代々木のコミュニティスペース「ココトモハウス」まで来ていただけたら、無料で差し上げます(*´`)

▽単行本はこちら

▽文庫本はこちら

以上、ゾノ( @ozonosho )でした。

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